真由先生はそう言葉をかけると、白衣を翻して保健室を出て行ってしまった。他校生がいるというのに、真由先生も呑気なものだ。

「単なる寝不足で貧血かよ」
 
大地くんはため息混じりに言葉を吐いた。

「すまん」
 
と云いながらもまたもや森村くんは大あくび。

「勉強でもしてたの?」
 
寝不足の原因を私は尋ねる。

「いや……メールしてた」

「また女の子か」
 
呆れたように大地くんは云う。私はその言葉にひっかかりを覚えた。

「また、って……」

「森村はプレイボーイだからな。仲いい女の子、数多」
 
私の心中など知らずに、大地くんは答える。私のこころはざわざわと蠢きだす。

「へえ……そうなんだ」
 
私はつとめて何気なく頷く。