「寝不足ね」
 
保健の真由先生が淡々と言った。
 
窓際のベッドに森村くんは横たわっていた。
 
真由先生はゆるやかに笑うと、森村くんの額からその小さい手を放した。
 
幸い、放課後の保健室には誰もいなくて、女子校に男子が来たからと云ってここは騒ぎにならなかった。
 
おっとりとした性格で有名な真由先生は、大柄な男子校生2人の登場にも微動だにしなく、淡々としたものだった。
 
ふあぁぁぁと森村くんはベッドの上でも大あくび。私と大地くんが傍で心配しているというのに、呑気なものだと思った。

「しばらく休んでいくといいわ。私は職員室戻るわね」