私には、その感性が解らない。同じ3つ子だというのに。
 
そこでベッドの上からティッシュの箱を投げたのは玖生だ。
 
それが南生のあたまにパコッとぶつかり、南生はありがとう、と云ってティッシュでそのピンク色の涙を拭う。

「私は、熱くなるなー」
 
ベッドで仰向けになって玖生が言葉を発する。

「大地のことを思うと、胸が熱くなる」

「熱く……?」
 
こちらもいまいち解らない。私は首を傾げた。

「とにかく、熱くなるの」

「ふーん」
 
玖生は照れくさいのか、手足をばたつかせた。

「紗生はどうなのよ。森村くんを意識してるのは確かでしょう」
 
そして話題をこちらに振ってくる。

「意識……ねぇ」
 
してないといえばウソになる。けれど彼女らのように涙したり、熱くなったりということはない。