遊園地の観覧車の中で、森村くんに、好きだ、と告げられた。

つきあおう、俺たち、と云われた。
 
私は考えることもせず、首を左右に振り、彼と別れた。
 
その晩、私より遅れて帰宅した玖生と、南生を、私の部屋へ呼んだ。
 
ブルー単色でコーディネイトされた私の整然とした部屋だ。あまり荷物のない部屋。
 
南生の部屋みたいにうさぎのぬいぐるみが頓挫してるとか、玖生の部屋みたいに足元にネイルの瓶が転がっているような雑然とした部屋じゃない。
 
何の特徴もない私の部屋。まるで私の性格みたいだ。

「南生も玖生も、どうして彼氏とつきあおうと思ったの?」
 
私は青地のカーペットに脚を崩して座り、おもむろに2人に尋ねてみた。
 
南生は、伊津くんからもらった大きなうさぎのぬいぐるみを抱いて、足をぺたんと崩して私と同じようにカーペットの上に座っている。
 
玖生は私のベッドの上に寝転がり、私の突拍子もない質問にキャハッと笑い声をたてた。