私は力なく呟いた。
 
あんな、ゴーモンに近い乗り物なんて、好き好んで乗るものではない。お腹の中も、あたまの中もシャッフルされる。たまったもんじゃない。

「なんだ、紗生。お前、絶叫系ダメなの?」
 
と森村くんが私の表情を察してか尋ねてくる。

「ダメ。乗り物系ダメ。私、あっちの輪投げコーナーに行ってる」
 
ふらふらと私は、食堂に隣接されている屋内のコーナーの方へと歩きだした。

「俺も行く」
 
森村くんは文化祭の時のように、また私の方へついて来ようとする。

「ジェットコースター、好きなんでしょ。行ってらっしゃいよ」
 
私はしっしっと手で彼を払いのける。

「輪投げも好き」
 
彼はそう食らいついて離れない。

「じゃあ、後でね~」
 
元気よく、玖生と大地くんは体感ぐるぐるマシーンの方へと行ってしまった。
 
私と森村くんは、ぽつんとふたりきりになった。