「しない」
「そうか。俺もしない」
彼の腕が、私の胸元を通っている。片腕で覆われている感じだ。男のひととこんなにも接近するのは生まれて初めてのことだと思う。けれど、私の胸の鼓動は高まるばかりか、逆に冷静になってしまう。
「なあ、紗生。俺たちつきあわないか」
「――は?」
私は驚いて真横に横たわる彼の顔を見た。顔が近い。その差15センチといったところか。
「俺、紗生を初めて見た時から、何か感じてたんだよね」
彼の腕に、私は巻きつかれるがままだった。
「だって、こうやって抱き寄せても、ドキドキしないんでしょ?」
つきあうには、お互いが好き同士で、好きってことは相手に触れただけで多少なりとも胸の高まりを感じるように思うんだけれども。
「しない。だけど、つきあおう」
「――いや」
「そうか。俺もしない」
彼の腕が、私の胸元を通っている。片腕で覆われている感じだ。男のひととこんなにも接近するのは生まれて初めてのことだと思う。けれど、私の胸の鼓動は高まるばかりか、逆に冷静になってしまう。
「なあ、紗生。俺たちつきあわないか」
「――は?」
私は驚いて真横に横たわる彼の顔を見た。顔が近い。その差15センチといったところか。
「俺、紗生を初めて見た時から、何か感じてたんだよね」
彼の腕に、私は巻きつかれるがままだった。
「だって、こうやって抱き寄せても、ドキドキしないんでしょ?」
つきあうには、お互いが好き同士で、好きってことは相手に触れただけで多少なりとも胸の高まりを感じるように思うんだけれども。
「しない。だけど、つきあおう」
「――いや」