その空の広さに、私は圧倒されていた。
 
どこまでも広くて、際限がなくて、澄んでいる。
 
雲ひとつの濁りもない。
 
何と形容したらよいのだろう。天という壁一面に碧い絵の具を滲みなく塗りたぐったようだった。
 
私は、思わず、涙していた――。
 
空は、私を、私という人物を総て受け入れてくれているようだった。
 
私は言葉を無くしていた。

「寝転んでみようか」
 
私の目頭に気づいてか知らずか、ここへ連れてくれてきた彼――森村くんは静かに云った。
 
私は服の袖で涙をくいっと拭い、云われるがままに大地に身体を預けた。