私の答えに、伊津くんは目を見開く。

「そう。よく解ったね。どこでどう鳴ったのか、とにかく原因はタバコらしいんだよ。学内でタバコ吸うひとがいるだなんて、僕驚いちゃったよ」

「直哉くんのようなあたまのいい高校でも、タバコ吸う生徒いるのねえ」

「あたまは関係ないよ。でも驚きだよね」
 
こくん、と店内のモチーフと一緒の、白いカップに入ったカモミールティを飲んで、伊津くんは云う。
 
南生も仲良くカモミールを頼んでいた。

「あ、そういえば玖生、いつだったかあなたも学校でタバコ吸ってたわよね」
 
急に姉らしく怒ったような口調で南生は言う。

「玖生ちゃん、タバコ吸うの?」
 
伊津くんが目をまん丸にする。

「吸う……っていうか、吸える。常習じゃないよ。この間、学校の廊下で歩きタバコしてたら、まんまと先生に捕まった」
 
伊津くんはますます目を見開く。

「すごいな。玖生ちゃん、そんなことするんだ」