そこは落ち着いた雰囲気の店内だった。
 
学生でごったがえすファストフードのお店とは違って、スーツを着たお姉さんがひとり、のんびりとお茶をしているような紅茶店に、伊津くんは南生とこぶつきの私を連れてきてくれた。
 
店内は白を基調としていて、高級感もあった。
 
その白い椅子に、私は南生と並んで座り、テーブルの南生の対面に伊津くんは座った。
 
ちらり、と髪をひとつに結わえた店員さんが、遠くから私と南生に目を向けたのを感じ取った。
 
同じ顔が並んでいるのが物珍しいのだろう。
 
だけど、私たちは双子じゃない。3つ子だよんなんてこころの中で思う。

「それがさ、非常ベルが鳴った原因、何だと思う?」
 
伊津くんが今日学校であった出来事を、口許に笑みをたたえながら話す。

「え、非常ベル? イタズラじゃあ、ないの?」
 
南生が可愛らしく小首を傾げ、頬に手を当てて考える。
 
私はずずっと青苦いダージリンティをすすりながら答えた。

「タバコじゃないの?」