「ちょっ、先輩!?」
頭に置かれた重みが消えて、視界に落ちていく掌が見えた。
そしてその後に、車内に零れる水。
「ちょっ――」
ちょっと。なんで蓋閉めてないのよ・・・
拭こうかどうか迷ったけれど、少ししかこぼれていないし、第一先輩が蓋閉めていないのが悪い。
だけど、なんかちょっと・・・
「・・・なんで、喜んでんだあたし」
握りしめられたペットボトル、先輩の役に立てた、なんて
「待って。落ち着け」
一応先輩だものね、そりゃあ頼ってもらえたらうれしいしね。
「大丈夫・・・」
深呼吸をして、先輩からペットボトルを取る。
そしてキャップをはめて、運転席のホルダーに収めた。
後ろを見るとさっきよりも苦しそうな先輩。
・・・ひとまず、先輩を家に・・・