じりじりと追いつめられる私はさしずめ餌食になる前の草食動物あたりだろう。
「あの、先輩?」
ガタッと椅子から立ち上がり、逃げるようにドアまで後ずさる。
・・・あと2メートル。
・・・あと1メートル半。
・・・あと70センチ。
近づくドアノブ。
そして近づいてくる野獣、オカマリーダー。
こちらに向けている顔はそれはそれはきれいな微笑み。
・・・否、真っ黒な冷笑だ。
「なんか、怒ってるみたいなんで・・・」
手探りでドアノブをつかむ。
「退散しま「待てこら」」
掴まれたドアノブを握っていた手。
冷たい感触から暖かく大きいものに変わる。
「な、なんでしょう」
「あたしと目ぇ合わせてみなさいよ」
「・・・・」
恐る恐る上を向く。
そこには絶世の・・・
「さあて。その天然もそこらへんにしとけよ」
“男”が立っていました。