お店には、お昼の時間は
サラダ、パスタ、小さなパン、食後の紅茶かコーヒーとデザートがついてくるセットがある。

結局、3人ともそのセットにすることになった。
あと、りゅうさんのリクエストでピザのマルガリータを追加。
一人増えたから、という理由で、いつもはMサイズなのが今日はLサイズになった。

待つ間、小さい頃に行った海水浴の話だとか、
淡路に一泊した話だとか、
懐かしい話をした。

りゅうさんもところどころで口を挟む。
この人が話すと、腹も立つけどおもしろいんだ。

初対面とは思えないほどリラックスしてしまって、
料理が出てくる頃にはもうテーブルはすっかり盛り上がっていた。

料理もおいしかった。

パスタってものは、家で食べるのとお店で食べるのはぜんぜん違う。
うちでは、オカンのつくる「スパゲッティ」はケチャップまみれのものだ。
だから余計にそう思う。

そう言うと、りゅうさんはおかしそうにげらげら笑った。

りゅうさんのお母さんは学校の先生で、あんまり家にいなくて料理もしない。
だから、いつの間にか料理を作るのははりゅうさんの役割になっているそうだ。

あんまり清潔そうじゃないなあ。

そう思ったのが表情に出たらしく、りゅうさんは怖い顔で笑った。

「言っとくけど、お前が作るよりよっぽどうまいと思うで。
今度食べさしたるけど、ぜったい感動するで。」

そこで直ちゃんが割ってはいる。

「ほんま、料理の腕と人格はまったく関係ないねんなっていっつも思うわ。」

「それ、どういう意味?」

「ほめてるねんやん。」

「じゃあ嫁にして。」

「死ね。」

それにしても、直ちゃんがこうやって同世代の男の人と話すのを見るのははじめてのような気がする。

うちの兄と同学年で、何度かうちに泊まりに来たこともあるが、
兄とこんな漫才みたいな会話をしているのと見たことがない。
もっとも、兄は部活漬けの生活を送っていて、ほとんど家にはいなかったせいもあるけど。