それで、思いついて

「直ちゃんに相談してみる？」と聞いてみた。

やっぱり、困ったことがあったら直ちゃんに聞いてもらいたくなるのはわたしの悪いくせだ。
でも、直ちゃんだってきっと心配するに決まっていると思うから、
その考えはそれほど悪いものでもないように思えた。
それに、留美ちゃんのことを大事に思っている人がもう一人いるはずだから。

「直ちゃんを彼氏って紹介したらあきらめてくれるかな？」と、また留美ちゃんが笑っている。

「それ、いいかも。」

直ちゃんが相手だったら、その人もあきらめがつくだろう、と思うのはわたしのひいき目に違いないけど、誰か他の人に間に入ってもらうのはいい考えだと思った。

「でも、直ちゃんやったらいまいち迫力ないなあ。」

まあええわ。なんとかなるやろう。
そこまでしてもらうほどの義理もないし、第一申し訳ないわ。
勘違いかもしれんのに。

「美代子のことやったら違うと思うけどな。」と、他人事みたいに言う。

「なあ、留美ちゃん。迫力あるのやったらおるやん。
勘違いかもしれんけど、勘違いのうちにやめてもらったほうがええで、それ。」