講義の合間に、紺色のスーツを着て、いくつか説明会なんかに行ってみても、
まわりが大学生ばかりだったりするとなんだか気落ちするばかりでいいことなんて何もない。

そこで知り合った子が話してくれたけど、
男子学生には別で資料が来たり、電話がかかってきたりしていて、
それなりに引く手はあるらしかった。

世の中厳しいなあ。

帰り道の電車の中でため息をついてしまう。

それでも、やりたいことも、やれることもぼんやりしているわたしでは、
その程度がお似合いなのかもしれない、と、
ガラスに映る自分をじっと見つめてしまった。

留美ちゃんはその頃、学内で行われた留学生の選抜試験を受けて、
「もう神頼みしかない。」と手を合わせて祈っていた。

受かれば後期から半年間、アメリカへ留学することになる。

りゅうさんも、3年生になって、ゼミに入るとかで、学校に行くことが多くなったみたいだ。
経営学を学んでいるそうなんだけど、教職課程もとるつもりだと、これまた少し気恥ずかしそうに言っていた。

一応、なんでも資格はあったほうがいいし、などと言っているが、
やはりそれは章子さんの影響なんだろう。
大変なこともたくさん見てきたんだろうが、りゅうさんなりに母親の仕事には理解と、尊敬の気持ちを持っている様子だった。