その夜、留美ちゃんはうちに泊まった。

次の日にりゅうさんのところへ行ってみると言う。
講義はさぼって、友達にノートみせてもらうわ、と携帯を取り出してメールを打った。

「わたしも行く。」

同じように樹里ちゃんにメールする。
わたしだって時々見せてあげるのだから、これくらいいいだろう。

寝る前に、

「なんでりゅうさんのうち知ってるの?」と聞いてみると、

「知らん。」と平気で言うから笑ってしまう。

「どないするん?」と聞くと、逆に、何か知らん?と聞かれたので、

名谷に住んでいると言っていたのを思い出した。

「ほんならそこまで行って電話しよ。ここから行くって言うたら、ぜったい来るなって言うもんな。」

留美ちゃんらしい、と思いながら、

「心配?」とたずねた。

「なんで?」

「だって、講義までさぼって。」

「講義なんかいつでもさぼれるで。一般教養やし。」

四年制の留美ちゃんは、わたしたちより楽なカリキュラムの組み方であるらしい。

「それでもさ。」

「うーん。野次馬根性もあるかなあ。
まあ、あれだけごはん食べさせてもらったし、…あの人、案外傷つきやすそうやろ。」

「…そうかなあ。」

「…そうでもないか。」

そんな話をしながら、その夜は眠りに着いた。