りゅうさんが言ったことは、
章子さんが停職処分になってうちにいること、
なんだか変な電話とか、手紙が来るので、電話は回線をはずしているということだった。

「なんで?」

さっぱり理解できない。

「なんかな、わたしも詳しくは知らんねんけど、
最近ニュースあったやろ。あれ、ヨッシーのお母さんのことらしいわ。」

留美ちゃんがそう言ったけど、どんなニュースがあったのかわからなかった。

「ニュースって?」

「今やったらやってるかも。」と、留美ちゃんがテレビのチャンネルを押して、
番組を切り替える。

バラエティから画面が変わって、ニュース番組が流れた。

殺人とか、政治家の汚職だとか、そんな話が続いて、
短くニュースをまとめたものが始まった。

「あ、これ。」

画面の中で、太った中年の男の人が頭を下げている。
ご両親にお詫び申し上げる、ということ、
二度と繰り返さないように指導していく、というようなことを言っている。

「これって。」

思い出した。
前に聞いたことがある。

朝、ワイドショーでやってたやつだ。

一年生の男の子が自殺したと言っていた。
確か、神戸市内の学校だったはずだ。

「これが章子さんの学校?」

「そうなんやって。わたしもニュースって言われてもぴんとこんで、
さっきネットで調べてきた。」と留美ちゃんは言う。

「そやからって、章子さんが停職ってどういうこと?」

すると留美ちゃんは、らしくもない深刻な顔になった。

「ネットで調べてたらな、けっこうひどいこと書いてる人がおって、
ヨッシーのお母さんがその子を自殺に追い込んだ、とかって。」