ーーーカランカラン。


落ちてた空き缶を蹴ってスタスタ歩く。


ちくしょう……。なんでこーなるんだよ。


ーーーカランカラン。


最近ついてねぇーなー。


この高校入って2ヶ月が経つが、1日でも楽しいと思ったことは無かった。


ーーーカランカラン。


睨まれたり喧嘩売ってくんのは相手のくせに説教喰らうのは俺ばかり。


“最悪の不良男子”やら“自己中ヤンキー”やらつけられる呼び名はどれも良いものはない。


運動神経良いやら成績優秀やらそんなんはどーでもいい。


楽しめもしねぇこんな生活。


『何がいけねぇんだろー……っな!』


ーーーカン!


思いっきり蹴り飛ばした空き缶を眺めようと先を見たその時。


『ん? あれは……』


ーーーカラン……カラン。


空き缶が落ちた音と同時に目に入ってきた光景……それはベンチで身体を丸めて座り込んでる女の子だった。


『あの女……』


間違いない、階段で当たってきた女だ。


何してんだ? こんなとこで。


ーーースタスタ。


不意に足が動く。


なんでだ?


人を嫌う俺が自分でもよくわからなかったが、何故か気になってその子のとこへと向かっていった。