階段を上がりとある場所を目指して歩く。


マジでめんでぇな。


俺が目的として来た場所、それは……


《生徒指導室》


帰りてぇ……。


ーーートントン。


とりあえずノック。


『誰ですか?』


『1年2組 桜井遊馬』


『入りなさい』


命令口調気にくわねぇ……。


嫌々ながらも部屋に入った。


言われることは予想もついてる。


『桜井君、どうして君は問題ばかり起こすんだ』


……ほらな。また来たよこのパターン。


『起こしたのは俺じゃねぇ、睨んできたのはあっちからだろ』


『彼らが嘘を言っていると言うのか? 君に手を出されてる事実はあるんだぞ』


『「手を出されてる事実があるから」ってそれで俺が原因ってのはおかしいだろ!』


『遊馬君、少し落ち着きましょう?』


1人の女の先生が止めに入る。


『糸川先生は甘いのですよ。桜井は何度同じことをやったかわかっているでしょう!』


先生同士で揉め始めた。


また俺のせい……か。


『甘くしてはいません。遊馬君の話も聞いてあげるべきです。被害にあったという生徒が必ずしも正しいとも限りません』


『それでは糸川先生は桜井をかばうのですか?』


俺を……かばう?


なんでこんな俺を……?


『かばうかばわないではありません。双方の話を聞いて判断したいだけです。』


俺が話すべきところなのにどんどん話がややこしいことになっていく。


また俺のせい……。


俺がいるから、なのか?


そのせいで周りが揉めるのか……?


俺がこの場にいるからこんなことが起きるのか……?


そんなんだったら……


そんなんになるくらいだったら……!


『退学なりなんなりしたかったら好きにすりゃいいだろクソ先公が!』


怒りに任せて発した言葉と同時に俺は指導室の扉を蹴破って外へ出た。


『遊馬君!』


『桜井お前!』


2人の先生の言葉が耳に入ったが、立ち止まることなく廊下を走り、気づいたら学校を飛び出していた。