『大切な気持ちはわかる。だが戻ってこねぇもんは戻ってこねぇ、これは受け止めろ』
この言葉を聞いた途端、彼女はまた泣き出そうとした。
『それにその泣いてる姿を意識のないそのはやと先輩とかいうヤツがみたらどう思う?』
ーーービクンっ。
泣き出そうとしてた身体に電流が走ったかのように一瞬震えた。
『今その姿をみたりしたら悲しんだりしねぇか? いつまでも泣いてる姿みて喜んだりしねぇんじゃねぇの?』
『……』
ギュッと強くなる掴む手の力。
『わかるか? テメェがいつまでもメソメソしてたって誰も喜びやしねぇんだ。いい加減泣きやめ、ガキ』
『……』
『大切なヤツに心配かけたくないとかそんなに好きなら悲しませるようなことはすんじゃねぇよ』
『……』
再び黙ってる状態が続くかと思ったとき……
『……きじゃない……』
泣きながら何か聞こえた。
『あ? なんて?』
聞き返す。
『……ガキじゃない……もん』
ようやく言い返してきたな。
だけど返してくる所ところってそこかよ……。
『なんだ? 強がってんのか?』
『泣いて……ない』
……泣いてんじゃねぇか。
クスッと笑ってしまった。
こんな感覚初めてかもしんねぇ。
人と関わるのがこんなに悪くないと思ったことは……。
『泣かない……。泣いてないもん……』
『強がっても無駄だバカ女。ちっと付き合え』
『えっ……?』
自分でも何を思ったのか気づいた頃には行動に移していた。
泣いてる彼女の手を強引にとり、俺はある場所へと歩き始めた。