『はやとって……一ノ瀬とか言うやつか?』


とっさに聞いてみた。


すると想像してた言葉ではない言葉が返ってきた。


『はやと先輩は……私が殺しちゃったの……』


……はぁ!?


この状況で何言ってんだ?


『お前が殺した? 事故ってだけで死んだなんて聞いてねぇぞ』


話を聞く限り植物人間ってのは聞いたが……殺されたとかなんとかっていう話は聞いたことはなかった。


『家まで送ってもらったから……早く来てって私が急がせちゃったからっ……』


彼女は再び泣き崩れた。


俺をつかんでいたその子の腕は力が抜けて今にも身体が地面に落ちそうだった。


その身体を今度は俺がつかんで落ちないようにしっかり支えた。


俺は何をしてるんだか……。


階段で当たってきた女の子ひとり公園で相手にしてこれじゃまるで泣かせてるみたいじゃねぇか。


だが、俺にも1つだけ腑に落ちないところがあった。


『いつまでもメソメソ泣いてんじゃねぇ!』


怒る自分。


泣かせないようにしている自分の行動とは真逆の発言だった。


そしてそのまま続ける。


『テメェがいつまでもギャーギャー騒いでてもな、そいつは戻ってこねぇんだよ。それにテメェは殺したわけでもなんでもねぇだろ、あれは事故じゃねぇか』


『……でも……』


彼女が小さく口を開く。


『はやと先輩に……もう一度でいいから会いたい……』


それはわかりきった言葉だった。


小さな身体で俺の服を掴む彼女の力は寂しさが伝わってくることがわかるくらいなほどだった。


その肩をポンと叩いて口を動かす。