『……や……と』


ーーードンッ!


!?


驚いた。


自分が背を向けた後ろから声が聞こえた。


それだけじゃない。


『……やと……い』


自分の身体にぶつかってくっつかれている。


声は小さく聞き取りづらかったが、何か言っているのはハッキリとわかった。


この状況……どうなってんだ……?


俺はとりあえず声の聞こえる女の方を向いた。


小さな身体でしっかりと俺に抱きついていた。


『……やと……せん……い』


また何か言っている。


『おい……今何つった?』


顔を近づけて声を聞いた。


彼女が泣きながら小さく口を動かす。


『は……やと……せん……ぱい』


はやと……せんぱい?


はやと……ハヤト……先輩?


……あ。


頭の中で1人の人物が浮かんできた。


『一ノ瀬……隼人……』