「はい、じゃあここ宿題にしとくから、今日はここでおしまい!」

「起立、気を付け、礼」

先生が教室から出て行ったあと、
後ろの方で矢野くんが
お前昨日今日とどうしたんだよーっと
話しているのが聞こえてきた。

まさとはなんて答えるんだろう。
つい聞き耳を立ててしまったが、
すぐに教室内がざわつき始めたので、何かと思い、ふと、隣の席を見ると、武田愛美さんの席の周りには女子たちが囲んでいた。

「愛美ちゃん遅刻するから心配したよ。
どうしたの大丈夫??なんかあったの??」

周りの女子たちが不安そうに武田さんを見ているので、私も隣の席から見てみたが、武田さんの顔が見えない。。どうしたのだろう。クラスでダントツに可愛く、私も目が合うとドキドキしてしまうくらい彼女は女子たちにも人気がある。ずっと眺めているとようやく、女子たちの間から武田さんの姿が見えた。見えた彼女の可愛らしい顔は、ぐしゃぐしゃで、目も鼻も真っ赤だ。。

きっとさっきまで泣いてたようだ。

矢野くんも武田さんを見ていたようで、

あっそういうことー。お前またひでぇーなー。
と聞こえてきた。



そういうことって??私にはよく状況が飲み込めなかったので聞き耳を立てていると、私の前の席に座る小林さんが振り向いて、さっきのこれなんだけど、わかんないんだよー教えてー。
っと真面目に授業のことを聞いてくる。
小林さんにわからない部分を教えている間、
なんとなくだけど、隣の席から、視線を感じるような気がして、ぱっと隣の席を見ると、武田さんと目があった。。

え?。。。
気のせいかな。。