家を出て、川沿いに向かう。

きっとベンチにいるはずだ。

。。。

川沿いを歩きベンチの方向へ歩いていると、
遠くでゆなととんとろの姿が見えた。

いた。


「ゆなー」

叫んでみたが届かない。。

走りながらゆなと叫ぶが、
ゆなは振り向かない。。

「がるるるるーーー」
ゆなは反応しないが、その代わりにこっちを向いてとんとろが唸っている。。

もう一度ゆなと叫んだが、ゆなに反応はない。。

。。。。?

ようやくベンチに着き、声をかけたが、
ゆなに反応はない。。。

「ゆな?」

肩を叩いたが反応がないため、真正面から声をかけようとゆなの目の前に立つと、ゆなが何かを持っている。。洋服が。。え?
。。。。っ。
腕が。。。

「おい!なにしてんだ!!」

腕から大量の血が流れ、
洋服まで血に染まっている。。。

「ゆな!!」

目は開いているのに、全くこっちを見ない。。
傷の痛みも感じていない様子で、
ただ川を眺めている。。

俺の声も届かない。。。何も感じていない。。

おかしい。。

ゆなを揺すっても。。反応がない。。
。。。

えっと。。。とにかく、傷をなんとかしないと。。とんとろの首に巻いていたバンダナをゆなの左腕に巻きつけてみたが、止血なんてドラマとかでしか見たことねえし、こんなんでいいのかわかんねえけど。。

よし、
とにかく。。。病院だ。。

ゆなを抱っこして、大通りに出てタクシーを止め、乗り込んだ。

「おいとんとろも乗れ!!」


やべ。。ゆなの自宅の番号しらねぇや。。

あっゆなの携帯。。
電話帳から自宅を探し電話をした。

おばさんは慌てた様子だったが、
命には別状ないから安心して病院にきてくれとだけ伝え、電話をきったが。。。

安心しろと言っても。。、

ゆなの傷は手首ではなく、
左腕に3箇所ぐらい平行にして
切られているような気がする。。
血でしっかりとは見えないが。。
結構深くまで切れている。。。

本当に命に別状はないのだろうか。。
タクシーに乗り込んでも、
ゆなは無表情でただ、一点だけを見つめている。。

自分でやったのか。。
でも自殺をするつもりではなかったのだろう。

ゆな。。

「ゆなーーーー!」