「大切なものって何?とか聞くなよ」

「え?聞いちゃだめなの?」

「聞くなよ。。」

。。。

なんだろう。

大切なものって。。。

ゆいにとってはあったのかな。
大切な何か。。。


「あっごめん。。手。。」

「あっわりぃ。お前泣いてたから。つい」

まさとは気づいて手を離した。

「ううん。ありがとう。
なんかとってもあったかかった。
まさとの手、好きだよ。」

。。
まさとが立ち上がり、
ベッドの方に逃げるように寝てしまった。。
なんかひどいことを言っちゃったのかな。

「ごめん。なんか変なこと言った?」


「違う。今日のゆな、素直すぎ」

「ごめん。。。」

「だからそうじゃ。。」

「弱ってて頭動かないみたいで。。
ごめん。ちょっとこうしててくれない?」

「。。。」

こういう時、誰でもいいから
ぬくもりを感じたくて、
誰でもいいから体を借りていた。

まさとにはそんなこと絶対できない。
頭が働かない今でもそれだけはわかる。

だから手だけ。

手だけ、少しの時間だから
貸して。

ごめんね。まさと。

私はベッドの上にあるまさとの手にほっぺを
当てた。

あったかい。

まさとは、無言のまま、
私に手を貸してくれた。

ありがとう。まさと