時は江戸、徳川幕府が世を治めていた頃。
【嘉永四年】
江戸にある試衛館にある少女の声が響いた。
「たのもーう!!」
私は“試衛館”の門前に立って声の限り叫んだ。
私の声を聞いて、なんだなんだ、と門下生たちが集まってくる。
その内の誰かが私を見て反応を示した。
「あ!!姐さんじゃないですか!!」
「やめてよね、なんか悪者みたいじゃない」
その声を聞いた門下生たちが声を上げる。
「びっくりしましたよ、何事かと」
「随分ご無沙汰でしたね」
私のことを“姐さん”と呼ぶこの門下生たちは私の弟弟子たち。
ざわざわとする彼らの間から誰かが顔を出した。
「おお!!雪じゃないか!!」
私の前に来て肩を揺さぶるこの人は此処、試衛館の塾頭を務める男。
そして私が、尊敬し、絶大な信頼を寄せている人。
「嶋崎先生!!お久しぶりです」
久しぶりに会えた先生に私は嬉しくて抱き着いた。
「おお、元気そうでなによりだ。して、出稽古はどうだった」
「それが、もう稽古にもなりませんよ。私が女だからってバカにして」
思い出すだけでも腹が立つ。
そう、私、浅葱雪は此処、試衛館の門人。
嶋崎先生に誘われて暫くの間出稽古に出ていた訳だが。
「いざとなると刀も抜けない腰抜けばかりでした」
私がむすっとしながらそう言うと嶋崎先生は笑って私の頭をガシガシと撫でた。
ボサボサになる私の髪。
【嘉永四年】
江戸にある試衛館にある少女の声が響いた。
「たのもーう!!」
私は“試衛館”の門前に立って声の限り叫んだ。
私の声を聞いて、なんだなんだ、と門下生たちが集まってくる。
その内の誰かが私を見て反応を示した。
「あ!!姐さんじゃないですか!!」
「やめてよね、なんか悪者みたいじゃない」
その声を聞いた門下生たちが声を上げる。
「びっくりしましたよ、何事かと」
「随分ご無沙汰でしたね」
私のことを“姐さん”と呼ぶこの門下生たちは私の弟弟子たち。
ざわざわとする彼らの間から誰かが顔を出した。
「おお!!雪じゃないか!!」
私の前に来て肩を揺さぶるこの人は此処、試衛館の塾頭を務める男。
そして私が、尊敬し、絶大な信頼を寄せている人。
「嶋崎先生!!お久しぶりです」
久しぶりに会えた先生に私は嬉しくて抱き着いた。
「おお、元気そうでなによりだ。して、出稽古はどうだった」
「それが、もう稽古にもなりませんよ。私が女だからってバカにして」
思い出すだけでも腹が立つ。
そう、私、浅葱雪は此処、試衛館の門人。
嶋崎先生に誘われて暫くの間出稽古に出ていた訳だが。
「いざとなると刀も抜けない腰抜けばかりでした」
私がむすっとしながらそう言うと嶋崎先生は笑って私の頭をガシガシと撫でた。
ボサボサになる私の髪。