男の人のお風呂は短くて,ものの15分で出てきてくれた


「話って?」

「……」


心では言いたいっ! って強く思ってるのに実際に蒼を目の前にすると口籠ってしまう


けど恋蘭と約束したから…あんな小さい子に気を遣わせるような親ではダメだと思う。

それにあと少しで恋蘭の誕生日

そんな時くらい家族仲良く祝ってあげたい

その想いが私を強くした


「…健太の事,ちゃんと聞いて欲しいの」

「……」

「…私ね,小学校の時いじめられてたんだーえへへ…カッコ悪いよね」


蒼は何も言わなかったけど私は話し出した


「途中で転校してきたから全然馴染めなくて…そんな私に誰も近づこうとしなくて。

ずっと1人だった…でも健太だけは違った」


昔のことを思い出すと健太には頭が上がらない

どれだけ私を助けてくれたか…


「クラス替えをしてみんなはワイワイやってたけど私にはそんなのどうでもよかった。

どうせまたいじめられるって…そう思い込んでたから。

でもそのクラス替えは私を変えてくれた」


静かに私の話を聞いてくれる蒼

私の事をじっと見つめて真剣に聞いてくれている


「ずっと1人でいたら健太が私に話しかけてくれたの。

" お前、友達いねーの?だったら俺が友達になってやる!俺がお前を守る!" …って

そんな事言ってくれるなんて思ってなかったから…嬉しかった」