「…未來から何も聞いてないのよね? 」


沈黙を破ったのはお義母さんだった


「はい」

「…そうよね。いつかは話すことになるって思ってたわ」

「何があったんですか?」


俺の質問にお義母さんが話し始めた


「…もう何年も前,未來と健太くんが小学生の時私たち家族はここに引っ越して来たの。…これは聞いてる? 」

「はい」


それなら聞いたことはある

未來が前に " 私も小学校の時に転校してきたんだ! " って言っていた


「それまではよかった…けど,未來にとってここからが地獄だったのよ」


地獄…?そんな話ひとつも聞いていないし、未來の表情からは何も感じられなかった。


「未來は人見知りで友達を作るのは難しかったの。それに途中から転校してきてあの子はずっと1人だった。
いつも1人でいるからいじめられて…毎日泣いて帰ってきたわ。それから未來は笑顔を見せなくなった。」


いつも笑っている未來にこんな辛い過去があるなんて全然知らなかった


「私も母親だから学校に乗り込んだの。未來に笑ってほしい一心で…けど,それは逆効果で…いじめはますますエスカレートしていったわ。」


お義母さんはそこまで言うと悔しそうに唇を噛み涙を流し始めた