続・芸能人と恋に落ちました。



「最近結婚の話を持ち出すといつもああいう感じなのよね…」

「そうなんだ…」


莉羽ちゃんは賢くんからのプロポーズを待っているんだろう

これは莉羽ちゃんから聞いた話なんだけど熱愛が出る1年位前から付き合っていたらしい。

だから約1年半は付き合ってるんじゃないかな?

結婚するには十分な期間だと思う


「ママ…」


恋蘭が私の足を掴んで賢くんのことを見つめている

そっか…恋蘭は賢くんに会うの初めてなんだ。

私も恋蘭がお腹にいる時に会ったっきりだから2回目


「え、この子2人の子供?」

「あぁ」

「俺が未來ちゃんに会った時お腹にいた子?」

「そうです」


賢くんは恋蘭の前にいって自己紹介してる

恋蘭も賢くんは悪い人じゃないって事が分かったみたいで抱っこされてる



「いいな、子供」


恋蘭を見つめる賢くんの顔はお父さんのように見えた

微笑ましくその光景を見ていると賢くんは恋蘭を抱いたまま莉羽ちゃんに体を向けた


「莉羽、結婚しよう?」


…えっ…これってプロポーズだよね?

この場に居合わせていいのかな…?

どうしたらいいかわからなくて蒼を見ると特に驚いた様子もなく洸を抱いていた。

この状況で誰も言葉を発さなくて莉羽ちゃんも驚いて声が出ないみたいだった


「俺と結婚してください」

「…はいっ! 」


莉羽ちゃんは嬉しさのあまり泣き出しちゃったけど2人の大切な区切りに居合わせてよかったと思った

賢くんに抱かれている恋蘭はもう結婚の意味がわかっているのか2人におめでとうと言っていた


「幸せになろう」

「うんっ! 」



「おめでとう莉羽ちゃん,賢くん! 」

「木下さんを幸せにしてあげろよ」

「おう」

「ありがとう未來」


2人は笑顔で帰って行った


「…幸せそうだね2人とも」

「そうだな」


莉羽ちゃんと賢くんが帰った後私はすぐにお風呂に入った


お風呂から出ると蒼は恋蘭と洸を寝かしつけてくれていた


「大変だったけどいい日になったね」

「あの2人ならうまくいくよ」


蒼から聞いた話によると賢くんは今まで結構遊んでいたらしい。

彼女ができてもすぐに別れて付き合っての繰り返しだったみたい。

けど,莉羽ちゃんと付き合って今まで浮気もしてないし逆に賢くんの方が莉羽ちゃんにベタ惚れらしい

そんなに想われて莉羽ちゃんは幸せ者だ

だからついつい束縛をしちゃったんだろう

莉羽ちゃんは嫌がっていたけど賢くんなりの愛情表現なんだね



後日,賢くんと莉羽ちゃんは結婚を報告した


賢くんのブログには

《皆様へ。この度女優の木下莉羽さんと入籍したことをご報告します。
初心を忘れず精進して参りますので今後とも宜しくお願い致します》


莉羽ちゃんのブログでは

《皆様へご報告。この度私事ではありますが兼ねてよりお付き合いをさせていただきました谷崎賢さんと入籍致しました事をご報告させていただきます。

まだまだ未熟者な私ですがご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します》


と発表していた。

やっぱり芸能人の結婚報告ってしっかりしなくちゃいけないのよね…

莉羽ちゃんのブログからは2人の結婚指輪の写真が掲載されていた。

幸せな感じが写真から伝わった




マスコミにもFAXを送ったようでテレビでも取りざたされてる

なんでも大人気の2人だからね…


『谷崎さんと木下さんが結婚ですかー、お幸せにしてください』


司会者さんはそう言ってるけどファンからしたら残念なんだろうな

街頭インタビューで2人の結婚の事を聞いている番組があった


『谷崎さんと木下さんが結婚したの知ってますか?』

『えーっ!賢くん大好きだったのに!』


もちろんお幸せにっていうコメントもあったけど悲しい声を上げるコメントも多い

もちろん莉羽ちゃんにもその声は上げられた



『♪〜♪〜♪』


…そしてここにもどうしていいかわからない感情を持った人がひとり


「もしもし」

『ちょっと賢くんが結婚だって!! 賢くん大好きなのにぃー! 』


相変わらず大きな声を上げる聖奈


『それに相手が木下莉羽って悲しんでいいのかわかんないよ! 』


莉羽ちゃんは私たちのお友達だからね…

そこは喜んであげないと…


「聖奈には瑞貴がいるでしょ」

『でも賢くんには結婚しないで欲しかったの! 』


なんて贅沢なんだ。

人妻でありながら他の男も欲しいなんて…


『まぁ相手が莉羽ちゃんだからしょうがないわね』



「知らない人の方が嫌じゃない? 」

『あっ! 莉羽ちゃんのお家に遊びに行けば賢くんにも会えるんだ! 』


私頭いい〜って喜んでいるけど瑞貴の姉の立場からしたら複雑なんだけど…


「ちょっと瑞貴がいるでしょ? 私の大事な弟がっ! 」

『…わかりましたよっお姉さん! んまぁこれだけ! 誰かに聞いて欲しくてさー。じゃあねー』


一方的に用件を言われて切られる私って暇つぶしにされてるのかな?

でも聖奈の気持ちは私にはわからない

だって憧れで大好きだった蒼と結婚したんだもん。

そんな大好きな人を取られる気持ちは一生経験したくない



ーーー1ヶ月後


私たち家族と聖奈家族は賢くんと莉羽ちゃんの結婚式に呼ばれていた

やっぱり芸能人の結婚式は違う

私たちの結婚式と比べてはるかに豪華だし招待客も尋常じゃない。

その中には有名な俳優さん,女優さんがたくさんいた。


「凄い…あの人も,あの人も! 」


聖奈は目を輝かせて周りを見渡している


「未來、俺挨拶行ってくるな」

「…私も行った方がいいよね? 」


一応奥さんだし,お世話になってるなら尚更挨拶はした方がいい。


「そうだな。瑞貴、恋蘭と洸頼めるか?」

「はい、大丈夫です」

「ありがとう」

「じゃ私たち行ってくるね」



恋蘭と洸を聖奈たちに託して蒼と一緒に回った


「初めまして、橋本蒼樹の妻です」


このフレーズを何回言ったことか…ほとんどの人は体験しないだろう挨拶まわりがこんなに大変なんだと感じた。

蒼はこんなに大変な世界で生きているんだ

私の疲れると蒼の疲れるとは比が違う


全ての人に挨拶をし終わった時にはもうクタクタで…


「もう疲れたのか?」


私が疲れ果てているのに蒼は全く疲れを感じさせない


「凄いね蒼。私もうダメ」

「もう終わったから瑞貴達のところに行こう」