(レイモンドのことは忘れると、神に、自分に誓った。


はずだったのに………)






レイモンドから贈られた肖像画。




その中に描かれた、無垢だったころの自分の頬に、恋を知ってしまったエレティナの涙が落ちた。





ーーー忘れなければ。




明日、私は、神に嫁ぐ。





そうすれば、私は神殿の奥深くに籠って、家族にさえ会うこともなく、生涯を神への祈りのために捧げるのだ。





それが、エレティナに課せられた宿命だった。






エレティナは引き出しを閉じ、思い出の品ごと、罪ともいえる恋心を閉じ込めた。