「………お父さま」






国王が「うん?」とエレティナに目を向けた。







「………すみません。

わたくし、少し疲れてしまったようですわ………。


奥に下がらせていただいてよろしいでしょうか?」






国王は慌てたように「大丈夫か?」とエレティナの肩に手をかける。




その肩が強張っているのを感じて、どうやら本当に体調が悪いようだ、と国王は思った。






「明日は大事な日だからな。


挨拶も終わったことだし、お前はもう休んでおけ。


あとは私に任せなさい」






「ーーーありがとうございます」






エレティナは国王に向かって深々と頭をさげ、広間で晩餐に興じる臣下たちに目礼をして、くるりと踵を返した。





レイモンドの真っ直ぐな視線を、背中に感じながら。