(………だめだわ、こんなことでは。


これまで必死に隠してきたというのに、最後の最後で………)







ぐっと唇を噛み締めたエレティナの顔を窺うように、レイモンドがゆっくりと目を上げた。






その瞬間。




二人の視線が、深く絡み合った。









ーーー溢れる、







と、エレティナは思った。







青く澄んだレイモンドの瞳に囚われた瞬間に、エレティナは目も眩むような光の中にいるような気がした。







(………あぁ、だめだ。


溢れてしまう。


想いが、溢れてしまうーーー)






胸の奥底にある想いを、ある力が、いやおうなしに引きずり出すように思えた。





それは、抗いがたいほど大きな力だった。