「お久しゅうございます、姫さま。


このたびは栄誉ある………」






うつむき加減に祝いの言葉を述べるレイモンドの言葉は、エレティナの耳を素通りしていった。





幼い頃から見慣れている、端正に整った凛々しい相貌を、魅入られたように見つめるエレティナの顔からは、先ほどまでの貼りつけた笑みが消えていた。







「姫、どうかなさいましたか。


お顔のお色が優れないようですが」







心配そうなオルガルの声に、エレティナははっと我に返る。







「ーーーいえ、なんでもございません。


いつもと違う白粉を使っておりますから、白く見えるだけですわ、きっと」






エレティナはおどけたように言って、くすりと笑った。






しかし、胸がどくどくと激しく動悸していた。