エレティナが席につくと、着飾った臣下たちが次々に挨拶に訪れる。




手に手に貢物を持って。




尊い仕事に従事することになるエレティナへの祝いの品々である。





エレティナは美しい笑みを浮かべたまま彼らに応対していたが、宰相のオルガルの番になったとき、表情を硬くした。




オルガルの横にひっそりと立つ若い男ーーー彼の嫡男・レイモンドの姿に気づいたからである。






オルガルの家は、五代前の祖が当時のラウレンダ王室から臣籍に下った王子であり、国有数の由緒正しき家系である。





レイモンドの母は、現国王の従妹にあたる王女がオルガルのもとに降嫁したもので、臣下たちからも一目置かれている。





王室出の母をもつこともあり、レイモンドは幼い頃からよく宮廷に顔を出していた。