信川アスカ(シンカワアスカ)は上を向き目薬を注した。

明るい茶色のサイドテールがさらりと後ろにこぼれる。

目に少し強い刺激が走り、アスカの茶色の瞳が何度か瞬きをした。

眠気は覚めたものの真面目に授業を受ける気にはならず、窓の外をぼんやり見つめた。


外には青空がキレイに…隠れてどんより曇っている。

「…はぁ。」

ひとつため息をつくと腕時計に目をやった。

あと3分くらい。

アスカはもう一度窓の外を見た。

特に変わったことはなく、アスカは横にひとつでまとめている髪を結び直した。


「おい、お前授業聞かなくていいのかよ?」

聞き慣れた声変わりで少しかすれた声の主――隣の席の鈴木タケルが小声で話しかけてきた。

それだけで緩みそうになる口元を隠すように

「ん、たぶん平気。」

とわざと短く答えた。