(俺は救いを求めて、あらゆる宗教の教えに耳を傾けた)


 そんなある日。


 城下にはびこるキリシタンどもの集会所に、乗り込んだ時のことだった。


 その当時すでに、日本国内はキリスト教禁止に傾いていたので、冬雅もその流れに沿っての行動だった。


 「……なんだこれは」


 そこはまさに異国だった。


 冬雅の命令で京や博多に出向いた経験のある冬悟とは違い、冬雅は蝦夷地から外に出たことがない。


 異国なんて、夢のまた夢。


 (ここは、極楽浄土?)


 耳に響いてくるのは……異国のメロディのような賛美歌。


 辺りを照らす、柔らかな蝋燭の灯り。


 壁に描かれた、主や聖母の微笑みに見守られながら。


 静かに祈りを捧げる信者たち。


 祈りの言葉を与える司祭。


 ここは、キリスト教徒が集う礼拝堂。


 この地にも禁教の気配が漂いつつあるので、信者たちは目立たない場所にこっそり礼拝堂を築いていた。


 外見からはそれとは判らぬよう。


 通報があったので、冬雅は自ら礼拝堂なる場所へ踏み込んでみた。


 そして衝撃を受けた。


 「これこそまさに、私が求めていた場所……」


 雷に打たれたかのように、冬雅は目を奪われた。