姫を抱きしめるその温もりまでも伝わってくる。
「こうなることは、前世からの定めだった。そんな気がする」
灯りの消えた寝室。
乱れた床。
はだけた寝間着。
抵抗した際に姫がちぎった赤い花びらが、その白い肌の上に散らばっている。
ようやく手に入れた愛しい姫から、一瞬たりとも離れるのが惜しくて。
冬雅は姫を腕の中に強く抱きしめた。
心はなくてもいいと思っていた。
その体さえ、今この腕の中に独占できるのならば。
そしてそれは、権力を駆使すればいともたやすくかなえられたのだ。
だが意識は程なくして……姫との別れの場面へ。
「月、そんな所で何をしておる。危ないからこちらに戻れ」
「お許しください……」
白い花が揺れる中、月光姫は一歩、前へと足を踏み出した。
その先は、海へと突き刺さった急崖……。
「姫ー!」
花びらは散っていった。
「こうなることは、前世からの定めだった。そんな気がする」
灯りの消えた寝室。
乱れた床。
はだけた寝間着。
抵抗した際に姫がちぎった赤い花びらが、その白い肌の上に散らばっている。
ようやく手に入れた愛しい姫から、一瞬たりとも離れるのが惜しくて。
冬雅は姫を腕の中に強く抱きしめた。
心はなくてもいいと思っていた。
その体さえ、今この腕の中に独占できるのならば。
そしてそれは、権力を駆使すればいともたやすくかなえられたのだ。
だが意識は程なくして……姫との別れの場面へ。
「月、そんな所で何をしておる。危ないからこちらに戻れ」
「お許しください……」
白い花が揺れる中、月光姫は一歩、前へと足を踏み出した。
その先は、海へと突き刺さった急崖……。
「姫ー!」
花びらは散っていった。