「冬悟さま!」
「生まれ変わって……また巡り会おう」
柵越しに一瞬見つめあう二人。
姫は柵を握り締め、泣き叫びながら。
馬上の罪人は、白い着物姿で縄に縛られている。
全てをあきらめたのか悟ったような表情で、無言で姫を見つめる。
行く先は、刑場。
この世では二度と会うことのない二人……。
弟の死を見届けた冬雅の意識は、月光姫との対面の場へと飛ばされる。
「赤江を利用して冬悟さまを煽り、陥れたのは、殿ご本人ではないのですか!」
「この世は闇だ。闇の世界に光を浴びて散りゆく、淡い色の花びら。そんな花びらをこの手にしたいと願った」
「それだけのために……。殿は弟君を排除なさったのですか……」
「大切にする。冬悟の分も」
「これ以上近寄るならば、私は冬悟さまの後を追わせていただきます!」
「冬悟は私に負けたのではない。自分自身に屈したのだ」
支配者として冷たく言い放つ。
そして意識はさらに、月光姫を初めて奪ったあの夜へ……。
「久しぶりだな、月光姫」
「殿……!」
「私に逆らえる者など、福山城下にはおらぬ」
「おやめください!」
……。
「生まれ変わって……また巡り会おう」
柵越しに一瞬見つめあう二人。
姫は柵を握り締め、泣き叫びながら。
馬上の罪人は、白い着物姿で縄に縛られている。
全てをあきらめたのか悟ったような表情で、無言で姫を見つめる。
行く先は、刑場。
この世では二度と会うことのない二人……。
弟の死を見届けた冬雅の意識は、月光姫との対面の場へと飛ばされる。
「赤江を利用して冬悟さまを煽り、陥れたのは、殿ご本人ではないのですか!」
「この世は闇だ。闇の世界に光を浴びて散りゆく、淡い色の花びら。そんな花びらをこの手にしたいと願った」
「それだけのために……。殿は弟君を排除なさったのですか……」
「大切にする。冬悟の分も」
「これ以上近寄るならば、私は冬悟さまの後を追わせていただきます!」
「冬悟は私に負けたのではない。自分自身に屈したのだ」
支配者として冷たく言い放つ。
そして意識はさらに、月光姫を初めて奪ったあの夜へ……。
「久しぶりだな、月光姫」
「殿……!」
「私に逆らえる者など、福山城下にはおらぬ」
「おやめください!」
……。