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 「……!」


 眩しくて目を開けることができず、圭介は腕で目を覆ってしまった。


 (何なんだこれは……)


 真夜中の真っ暗闇の中、いきなり車のライトを浴びせられたような感じだ。


 「いかがなさいました?」


 「眩しくて……」


 「まことに、眩しいくらいに咲き誇っておりますな。殿」


 (との?)


 横にいる男に「殿」と呼ばれて驚いた圭介は、恐る恐る目を開けた。


 するといつしか眩しい光は消え去っており、辺りは輪郭を取り戻した。


 (ここは……?)


 この部屋、どこかで見たことがある。


 (大きな和風の屋敷らしいが……)


 圭介は部屋中見渡した。


 気がつくと騒がしい。


 部屋の中には大勢の人が集っているらしい。


 宴会か何かだろうか、非常に騒がしい。


 「……?」


 状況が把握できず、圭介は戸惑っていた。


 「殿、酔われましたか?」


 先ほどから「殿」と呼びかけて来る、近くの席に座っている男を圭介はじっと眺めた。


 「今日は見事な、桜日和にございます。この赤江(あかえ)も、尽力してこの日の宴の準備をした甲斐があります」


 (赤江だって!?)