ちょっとした沈黙の後。

先輩が口を開いた。


「何やってんだよ!!俺が来なかったらもう少しで危ないとこだったんだぞ!!!」

周りの人が注目するくらいの大きな声でわたしに怒鳴った。


「ご、ごめんなさい〜。」

わたしはさっきの怖さと先輩を怒らせてしまったという不甲斐なさから我慢していた涙がポロポロポロポロこぼれた。


泣いたって先輩を困らすだけなのに、拭いても拭いても止まんないよ……



先輩は困ったように頭をガシガシかいてわたしを抱きしめてきた。


え!?わたし抱きしめられてる!?


「ごめん泣かすつもりじゃなかったんだ。」

わたしが悪いのに先輩に謝らせちゃった。

「謝らないでくださいわたしが悪いんです。わたしが勝手にはぐれたりしたから。」

先輩はずっと頭をなでてくれた。


「違うんだ。気付いたら隣にいなくて焦って探してたんだけど、やっと見つけたと思ったら知らない男に触られてるし……それ見てむかついてカッとなっただけ。やつあたりした、ごめんな。」


え?それって……


「………そろそろ花火始まる時間だな。向こうによく見える場所があるから行こう。」

と先輩に連れられその場所に向かった。