とある中学校の文化祭 。
私はなぜか、どこかのクラスの運営しているカフェにいた。
オレンジジュースをストローですすりながら下がりかけのメガネをかけなおす。
さすが文化祭。
辺りが賑わっている。
騒がしいなか、チョコケーキを一口だいに
切り分け口にゆっくりと運ぶ。
口の中に入れた瞬間、
カカオの風味が鼻からフッと抜けた。
なぜ、私がこんなところにいるのか。
勿論ただ遊びにきたわけではない。
私は、『ある』任務を遂行するために仕方なくここにいるのだ。
仕方なく……
「すいません! ショートケーキも
頼んじゃっていいですか?」
「はい、ただいま!」
はっ!い、いけない…ケーキの誘惑に負けて…
つい、頼んでしまった。
咳払いを1つして誤魔化し、
あと少しのオレンジジュースをズズッと
一気にすすった。
そして、帽子を深くかぶり直す。
私がなぜこんなところにいるのか。
それは、およそ1時間前にさかのぼる。

