色んな種類のアイスの前で何食べようかなあ
なんて考えてたら棚の向こう側にどっかで見た
ことのある後ろ姿があった。
「春子!あれってもしかして遠藤正樹くんじゃない?」
奈津も気付いたらしく、少し興奮気味に喋りか
けてきた。
「チャンスだよ!話しかけようよ!」
いや、私はどうだっていいし。
「奈津行ってきなよ、私アイス選んでるから。」
「えーー!!一人じゃ無理だよー!一緒に行こうよー!」
だんだん声が大きくなる。奈津の悪い癖だ。
「ちょっとここお店だよ、もうちょい静かに話して。」
「じゃあ一緒に話しかけてくれる?」
「あれ、その制服って、俺と同じ高校だよね?」
ぎゃあぎゃあ騒いでるうちに向こうのほうから
寄って来た。
「遠藤くん!」
「俺のこと知ってるってことは君達2年生?クラスどこ?」
「私は聖川奈津って言うの!こっちは五十嵐春子!どっちも3組だよ~!」
さっきよりもテンションが高くなってる奈津が食い気味に答えた。
「遠藤くんは8組だよね!」
「よく知ってるね。そうだよ。」
「クラスが遠くて中々会えないから話してみたかったんだよね!」
2人の会話が盛り上がってる中、参加してない
私はまだどんなアイスを買うか悩んでいた。
そろそろ買おうかなって時に奈津も喋り終わ
ったのかこちらのほうに駆け寄ってきた。
「初めて正樹くんと話したけど流石だね!性格もイケメンだよ!」
あれ、さっきまで名字だったのに名前呼びに変
わってる。かなり仲良くなったみたいだ。
「あ!春子ごめん!ちょっと待って!すぐ選ぶから!」
「いいよ、ゆっくり選びなよ。」
そんな私のセリフを他所に何秒もしないうちに決めていた。私とは大違いだ。
「春子のも一口頂戴ね~。」
「はいはい、奈津のもね。」
そんなふうにやりとりをしながら家まで歩いて
いった。