「なんかさ、好きな人がいるらしくって協力して欲しいって頼まれたんだよね。それで斉藤って普段どう思われてるのか気になって聞いてみたの。」

嘘はついてない。

「へ~。で、斉藤は誰が好きなの?」

あんたですよ、なんてことも言えるわけなく

「アハハ、それは内緒かなあ。」

「えー!教えてよー!」

「斉藤に悪いし。」

奈津本人だなんて言えないし。

「まあまあ、あいつのことは良いじゃん。」

強引に話題を変えようとして違う話を持ちかけ

てみる。

「そんなことよりコンビニ寄らない?私アイス食べたいなーって思ってたんだよね。」

「いいねー!私も買おーっと。」

良かった、話題が逸れた。

「じゃあじゃあ早く行こう!」

そう言って奈津は小走りに駆け出した。