「こっちの話も聞けよっっ!」
リーダー女子がまた蹴ろうとするのを見て、斉
藤が慌てて止めに入った。
「え、え、ちょっと、何してるんですか!?」
「離せよ、触ってくんな、変態!!」
リーダー女子が喚くせいで少しずつ周りに人が
集まってきた。
「チッ、覚えてろよお前…。」
人が集まってきたのに気付いたのか、リーダー
女子は捨て台詞を吐いて行ってしまった。他の
女子達もそれに続く。
「一体何だったんですかね、あれ…。」
私に手を伸ばして、立ち上がらせるとポツリ
と言った。
「さあ、遠藤に近づく私達が気に入らなかったらしいよ。」
制服に付いた土を払いながら帰る準備をする。
「助けてくれてありがとね。」
「いや、俺は何にもしてないですよ。」
「来てくれたじゃない、偶然でも助かった。」
それにしても奈津は何もされてないだろうか、
それが気がかりだった。