「強いて言えば、五十嵐さんと一緒に食べたかったんだよね。」
「…そう、私は貴方と食べたくないけど。」
「はっきり言うねー。」
話してる間にも距離をジリジリと縮めてくる遠
藤に、思わず私も後退する。
「俺さ、五十嵐さんのこと好きかも。」
「どうせ顔でしょ?」
「うん。」
あっさりと言いやがる。近づいてくる遠藤から
後退していたら後ろが壁だということに今更気
が付いた。
「ああ、あとその態度も嫌いじゃないかも。今まで言い寄ってくる人しかいない中、そんな風に言ってくる人は初めてだからさ。」
「それってマゾなんじゃないの?」
皮肉混じりに冗談を言ったつもりだったが、流
石にカチンときたのか少し顔色が変わった。
「とうとう壁に追い込まれちゃったね。」
「逃げてるの分かった?」
「そりゃもちろん。でも今度は逃さないよ。」
そう言って、私の体を挟むように壁に手をつか
れた。