「用事ってどんなことですか?」
「いや、斉藤に言いたいことがあって。」
「言いたいこと…?」
「斉藤ってクラス何組なの?」
「クラスは…5組ですけど…。」
それがどうしたんだと言わんばかりに不思議そ
うな顔をして見つめてくる。
「あとさ、メアドと電話番号教えてよ。いちいち行くのとか面倒だからさ。」
「良いですよ。」
メアドも交換し終わって、肝心なのはここから
何だけども…言いにくいなあ…。
「あの、話す場所変えません?」
斉藤がおずおずと提案してきた。確かにさっき
から周りの視線とひそひそ話が絶えない。なん
であんな地味な奴なんかと五十嵐さんが一緒に
いるんだ、とか。一緒にいちゃ悪いのか。
「でもどこにする?」
「旧校舎の一階の学習室とかはどうですか?あそこってあんまり使われてないですし。」
「そうだね。でも移動してたら時間がかかっちゃう。放課後とか暇?」
「特にこれといった用はないですよ。」
「じゃあ放課後にそこでね。」