それにしてもどうしようか。昨日の夜はぐっ
すりとよく眠れたから朝はスッキリと起きられ
たけど、問題を持ち越しにしてしまっていた。
よくよく考えてみたら結構大変なことになって
いる。
「ええと、斉藤は奈津のことが好きで、奈津は遠藤くんのことが好きなんだよね?」
声に出して確認したところでどうにかなるって
わけじゃないけど。なんだかややこしいなぁ。
「さて、どうするか。」
今グダグダと考えてもしょうがないと思い、と
りあえず学校に行く準備に行動を移した。
いってきますと言って家を出たら奈津とちょう
どばったり奈津と出会った。
「おはよう。」
「おはよう春子!昨日のこと、考えてくれた?」
「あー、うんー、まあね…。」
そこまでちゃんと考えてないせいで、何となく
生返事になってしまう。
「学校行こっか。」
さっきからウズウズしてた奈津がついに話を切
り出した。
「いいでしょ?お願いっ!春子にしか頼めないしっ!まさか春子も正樹くんのこと好きなんて言わないよね!?」
必死になって聞いてくる奈津に思わずふふっと
笑ってしまう。
「それはない。絶対ないから安心して。」
「良かったあ~、春子も好きだったら私なんて勝ち目ないもん。」
必死になったと思ったら今度は安堵の声を漏ら
す奈津。くるくると表情を変えて忙しそうだ。
人を好きになるってこんな感じなのかな。今ま
で何度も告白されてきたけど、ほとんど断って
きた。たまに興味本位で付きあってみたりはし
たけど、結局すぐに別れてしまって長く続いた
試しがない。