「どこに行こう…」
 
 見渡す限りに建ち並ぶビルやショッピングモールや交差点。

 自分はこの街が好きではなかった。


 引っ越してきたのは1年前ー 


 優妃は、沖縄から遠く離れた東京にきた。 

 十二年間も過ごした町を離れたくはなかった。


 「ハァ‥疲れた~」


 優妃の行き先はいつだって決まっている。

 広い草原を下ると川が流れているこの場所は、日の光に照らされて輝いていた。
 
 ここはあまり人が来なくて居心地がいい


 優妃はそれに吸い寄せられるように、いつも眺めていた。

 ー少し自分の故郷に似ている気がした。
  
 「‥一人で来てもつまんないや」  

 うずくまりながら、優妃は腕を強く握り締めていた。              
 「‥会いたいっ‥」   
  
 青紫になった腕を強く握り締めながら、
少女は小さな声をあげた。