「美保、お使い行ってきて」

(ええ~、めんどくさい)

美保にとってお使いは拷問だ。

それを知っててわざと行かせる姉は質が悪い。

でも自分を偽っている美保は断ることが出来ない。

「はーい…」

ここで家族でさえも知らない裏技を使う。

ピルルピルル

『はい』

「あ、私だけど~、―と―を―で買って来て」

『…分かった』

昔、美保がたんなる気紛れで助けた男、武。

これがまた律儀な男でなにかお礼がしたいと言ってきた。

(これは使える)

頭の回転が早い美保は瞬時に悪知恵を働かせ。

『私の言うことはなんでも聞いて』

そのお願い(?)を了承してしまった武は、晴れて美保専属のパシリとなったのだ。

そんなこととは露ほども知らないお姉ちゃん。

美保が嫌がることをしたということで一人、快感に浸っている。

なんとも幼稚な姉だ。