「美保ー!ちょっと来なさーい!」

「はーーーーい!!!」

喋ることすらめんどうだと感じる彼女は少し喋っただけで頭痛や目眩がする。

しかしそれでも演じるのを止めないのには理由がある。

幼いときから姉に苛められ、周りから“頭がおかしい狂った変人”と言われ、虐げられ。

物心つく前には既に孤立していた美保は自分を偽ることでしか自分の身を守る術(すべ)がなかったのだ。

しかし、それよりも。

(生まれたときからず~っと演じてきて今では家族でさえ、疑うことすらしないのよ!?今さらバレたら色々とめんどくさいじゃない!)

やはり、美保の大半は“めんどくさい”によって決まるようだ。