女性は暫くぼーっとして、周りを見渡していた。本人も状況が判断出来ていないのだろうと。
そして、私と土方さんに気付いたのか顔をじっと見た。




「あー……えっと、失礼しました」



それだけ言うと、刀を持って急に走りだした。
あまりに突然で速い行動だった為少し遅れを取って追いかけた。




「待てゴラー!!その変な女ー!!」


「へっ!?待てと言われて待つ奴がいると思うのか!?この土方さん(仮)!!」


「!?てめっ!なんで俺の名前知ってんだ!!」


「はぁ!?アンタほんとに土方って言うの!?
気持ち悪いっー!!土方さんは歳紀さんだけで十分なんだよ!!そっくりさんなんて一人で十分なんだよ!!この土方さん(仮)!!」




二人の言い合いに笑いそうになのを堪えると同時に彼女から出てきた「歳紀」という名前に疑問を覚えた。
それになぜ、会ったこともない人が土方さんの名前をしっているのだろうか。

確かに私達は新選組で敵は沢山いる。
もし、彼女が敵側の間者ならもう少し慎重に私達に近づくと。

そう思いながら走ると変な輩とぶつかって喧嘩を売られているのが見えた。そして、斬りかかれていたのも見えた。
いくら彼女が刀を持っているからと言って男二人相手じゃ勝ち目はない。

そう思っていた矢先だった。




「ギャーッ!!俺の……っ!俺の腕がぁぁあ!!」


「兄貴っ!!テメーッ!!兄貴に何しやがんだ!!」




彼女が刀を抜刀して男の腕を斬っていた。
そしてもう一人の男が刀を抜き、聞きかかろうとした時、鞘で腹を強く付いた。
そして倒れたのをいいことに、同じく腕を斬ろうとした。

私は自分の刀を抜き、止めた。




「止まってください。
私は貴女を罪人として捕らえたくない」



「……………」



そう言うと彼女は糸が切れた人形のように倒れた。
私は咄嗟に彼女を支えた。



軽い



その一言だった。
女性たがら、男より軽いのは当たり前だが、ありえないほどの軽さだった。




「総司っ!!」




あとから来た土方さんは男達を縛り上げ、私の傍にきた。




「土方さん……」


「…………そんな顔してもその女は逃せねぇな……。屯所に連れて行く、刀の所持と見慣れねぇ格好のことを聞かなきゃいけねぇ」


「…………はい」


彼女を抱きかかえ、土方さんに刀をお願いした。



「っ!?コイツは……。おい、総司」


「なんですか?」


「お前の刀って1本しかないんだよな……?」


「その筈ですけど………」



彼女の刀を見て驚いてる土方さん。



「やっぱりその女、只者じゃなさそうだ」



土方さんの目が鋭くなったのを感じた。




いったいアナタはだれなんですか?
私のそっくりさん。



意識のない彼女に心から問いかけた。






SIDEend